5月に下関で開催された第68回日本医学検査学会で、「第1回The International Young BLS Forum」という国際化フォーラムが開催されました。本フォーラムは2018年に発足された若手技師国際化向上Working Group(WG)の最初の企画であり、私はそのWG委員の一員として、本フォーラムに参加させていただきました。本フォーラムは「人工知能の活用」というテーマのもと、精度管理チーム、ゲノム医療チームおよび遠隔医療チームの3つにグループに分け、それぞれのチームで事前に作成した資料を元にディスカッションを行い、最終的にまとまった話を参加者および一般傍聴者の前で発表する形式で行いました。1グループにつき日本、韓国および台湾からの参加者計10名で構成され、国内外の若手検査技師が主体となり、臨床検査の未来像について、国境を越えた論議が行われました。
私は病理細胞診領域を専門としているので、ゲノム医療チームのメンバーとしてディスカッションに参戦しました。最初にフォーラム当日までにディスカッションをするための事前準備をしないといけなかったので、ゲノム医療において重要とされる組織の固定方法やAIの活用に関する質問を5項目リストアップし、各国がそれに回答する形で事前準備を進めました。
フォーラム当日はAIの有用性に関して重点的にディスカッションを行いましたが、なんとかそれなりに話はまとまり、最終発表に関してもカープの中崎劇場ばりのハラハラする展開がありながらも、最終的にはうまくまとまった発表ができたと思います(ディスカッションの詳細については医学検査雑誌に投稿予定ですので、乞うご期待ください)。もちろんすべて英語でやらないといけないため、訳のわからない状況が多少なりともありましたが、皆でフォローし合うことによって、コミュニケーションがしっかりとれたと思います。フォーラム終了後は韓国、台湾の方々とさらに距離が縮まり、気が付いたら好きな異性のタイプの話まで発展していました。恋バナというのはワールドワイドに盛り上がるものだなと実感しました。僕自身これまでに様々な学会で発表をさせていただく機会がありましたが、今回のフォーラムほどの感動はいままでありませんでした。2016年にカープが25年ぶりに優勝を決め、黒田と新井が泣きながら抱擁するシーンなみの感動でした。
しかしながら、感動すると同時に僕自身の英語力の乏しさにも、苛立ちを感じました。今シーズンの緒方監督の采配に対する苛立ちほどではありませんが、あらためて英語表現の難しさを痛感させられました。
普段の日常生活において、英語を使う機会はほとんどないため、なかなか実践的な英語力をimproveしていくのは難しいところではありますが、それはただの言い訳に過ぎません。
今回の貴重な経験を生かし、国際化WG委員の名に恥じぬようこれからも英語力の向上に努め、初心を忘れずアグレッシブにチャレンジをし続け、将来的にはルー大柴のようなインターナショナルな男になりたいと思います。
呉共済病院 病理診断科 小林 剛