第38回広島県医学検査学会「coNnEcT HIROSHIMA~withコロナ!NETでつながる新時代の幕開け~

 令和3年2月28日(日)に第38回広島県医学検査学会「coNnEcT HIROSHIMA ~withコロナ!NETでつながる新時代の幕開け~」を開催致しました。今回の学会は昨今の新型コロナ感染症の感染状況を鑑み、初のWEB配信形式での学会となりました。感染症や経済方面での有識者の方からは、コロナに対抗しながらもしばらくは共に生きていく必要があり、その世界でどのように上手に生活していくか、といった意味合いで「ウィズコロナ」の言葉が使われています。当会の県学会実行委員も、コロナウイルスがあるために学会を中止にするのではなく、またディスタンスを保ちながらの現地開催を行うのではなく、昨今取り入れられているWEB形式での開催を試みました。

 私は今回の学会で、副実行委員長(事務局)として参加させていただきました。一般演題の募集を開始したのは8月初旬で、広島県内の感染者数はまだ全国に比しても多くはない時ではありました。しかし新たな試みではあるし、いつ感染爆発が起こってもおかしくない状況で本当に応募があるものだろうか、と危惧していましたが、12名の方に応募いただき1人の不参加を出すことなく無事当日を迎えることができました。当日配信会場に参加頂いた発表者の皆様には大変なご苦労があったことと思います。深く感謝申し上げます。

 学会の事前申し込みは343名で当日参加された方は334名でした。配信はTKP広島駅前大橋の1室で行い、もう1室が発表者及び学会運営関係者控室として用意し、計2室というコンパクトな会場で行いました。

 さて、会長の挨拶より学会がスタートしました。ウィズコロナの時代にあって新たなことに取り組むことも重要であるという旨を述べられました。

 

学会発表会場の様子

 配信会場は一般演題ではWEBカメラの面に発表者と座長が並び、カメラとは反対側にタイムキーパーと座長の質問を補助する役を一人ずつ配置しました。発表者と座長の間には飛沫感染防止のためにアクリルパーテーションを設置しました。向かいの控室ではスクリーンが設置されWEB配信の様子がそのまま投影されるようになっていました。一般演題の発表は、スライドのファイルを一時的に共有できなくなる等のトラブルはありつつも大きく遅延が起こることなく終了したように感じていました。しかし、後から頂いたアンケートを見ると、やはり準備が不十分だったり不案内なところが多くあり、改善すべき点が多くあると感じました。また、WEB形式での発表は初めての方がほとんどの中で、慌てず落ち着いた様子で発表されている姿を見て「すごいなあ」と感心しきりでした。内容もよく練られたものだったり、珍しい症例の報告だったりと、私は発表者の方の横でPC操作の補助をしていましたが、しっかりと内容に聞き入っていました。

福永竜也技師(左)と安松弘光氏(右)

 一般演題の優秀賞は、広島市立舟入市民病院 福永竜也技師の「COVID-19患者におけるフェリチン濃度について」に関する発表でした。今話題のコロナウイルス感染症について日ごろから計測している検査項目から重症度を判定することが可能であるかを検討された、画期的な内容でした。

 

みんなで考える症例検討会

 昨年からスタートした「みんなで考える症例検討会」いわゆるR-CPCですが、今回も2症例の報告があり、非常に興味深い内容でした。1症例目は倦怠感が主訴で来院した患者が強皮症原因で起こった腎障害(腎クリーゼ)であったという比較的稀なケース。2症例目は背部痛やタール便で紹介受診された患者が、B細胞性リンパ腫を罹患しており、鎮痛目的で内服していたNSAIDsが原因でおこった潰瘍からの出血により貧血起こしていたというものでした。普段のルーチン業務を行っていると、中々経験することのできない、他部門の意見を取り入れつつ同一症例を検討するという機会自体がとても素晴らしいと感じています。また前年より期待されていた渕田節はやはり健在で、しっかりと場をまとめられていました。

 完全にオンラインで行われた今回の学会ですが、大変残念なことに数名の方が参加できなかったとのお声をいただいております。当実行委員の対応が至らず大変申し訳ございませんでした。この場を借りてお詫び申し上げます。

 反省点も多くありましたが、今後に繋がる展望も大きく開けたように感じます。実地での学会開催で、その臨場感を味わうことはその場でしかできません。しかし、やむを得ない事情があったり、遠方まで向かう時間や交通費の捻出が大変だと感じる方は一定数おられると今回の会でより明らかになりました。オンラインという手段を用意していれば、自分の都合だったり調子に合わせて学会参加の仕方を選択できるわけです。学会に限らずWEBセミナーは多くあります。当会もそれを一つのスタンダードな手段の一つとして取り込んでいければより効率よく情報を発信できるようになるのではと思うところであります。

 最後に、学会を開催するにあたり、実行委員他多くの方にご助力を頂きました。昨年の年末から年始にかけて広島県内でも新型コロナウイルス感染症が急増しました。私の周囲にもオンラインでも開催できるのかと、開催を危惧する声もありましたが、なんとか関係者の皆様のおかげで、この日を迎えることができました。改めて深く深く感謝申し上げます。

第38回広島県医学検査学会副実行委員長 粟村尚史